超格差社会=平安時代

「どうした家康」は予想通り「どうする家康」になった。松潤に飛びついた令和女子はさっさと逃げ、お粗末な脚本は古参大河ファンが霧散した。さて次の大河は紫式部を描く「光る君へ」だが、幸いにしてジャニーズの起用はないもの、前作に同じく「陰る君へ」になりそうな気がする。
そもそもが平安時代は絢爛豪華な貴族宮中のイメージに囚われ過ぎているが実際はトンでもない格差社会。京都の生活環境は劣悪を極めていた。芥川「羅生門」の冒頭「この二〜三年、京都には地震とか辻風とか火事とか饑饉とか云う災がつづいて起こり洛中のさびれ方は一通りではない」とある。清少納言姐さんは「にげなきもの=つり合わないもの」として「下々の家に雪が降りかかっている景色。そういう家に月の光が差し込んだりしてなんかもう台無し。紅の袴を着た下衆女も耐えられない。近頃はそればっかりでうんざりだ……」と下々をさげすむ、差別の権化だった。
国民から受信料を強奪しつつ格差社会に目を瞑るような庶民感覚ゼロの物語に、我らはとても手を叩いて楽しもうとは思わない。