ヨルダン ②

もしアメリカ人がイスラム国に捕まって人質にされ、その身代金は日本が支払えと云われたらどうするか?
米国はテロリストに屈しないと云いつつ、でも米国民の中には日本に身代金を払って欲しいと考える人がいるだろう。日本国内でも「アメリカのために金を払うのか?」「アメリカ人も同じ人間。お金を払って釈放を!」「自己責任、死んでもしょうがない」とか、とにかくたくさんの意見が出てくる。こうなったらもう日本政府はどう動いても国内外からの批判にさらされる。下手をすれば日米関係だって悪化しかねないし反日感情も高まるだろう。

以上の仮の話は、実はいまヨルダンが直面している状態だ。今回、事件発生直後から日本政府は「ヨルダン政府に協力をお願いしている」とことあるごとに発言してきた。ヨルダンからすれば降って湧いて人質事件の交渉役に就かされ、挙げ句に軍パイロットの命に危険が及んでしまったのだから全く迷惑な話だろう。だから日本政府は「テロには毅然として対応する。テロには屈しない」とだけ発言して、あとはいちいち反応しない方がよかったのかも知れない。その結果、もし最悪の事態になったとしても、少なくてもヨルダンの不幸は作らないで済んだ。