震源の至近に原発計画があった

能登半島地震震源の至近、珠洲市高屋地区。細い山道だけが外の地域とつながる唯一のルートで一時孤立状態になった。この地に49年前、関西、中部、北陸の電力3社共同による「珠洲原子力発電所」の立地計画が進んでいた。珠洲市議会の原発誘致決議に因るが、住民の強い反対で計画は進まず電力需要の低迷などを理由に2003年に計画は凍結。もし珠洲原発が建設されていたら過酷事故は間違いなく起きていた筈だと、建設反対に関わった住民は当時を振り返る。ちょうど同じ頃、巻町にも東北電力による「巻原子力発電所」の計画が進んでいたが、スリーマイル島原発事故などで不安が広がり、1995年町民有志による「巻原発・住民投票を実行する会」の呼び掛けにより賛成474票、反対9854票の圧倒的大差で反対派が勝った。当初は両計画とも建設予定地近辺の「断層」は大きな議論にはならなかったが、阪神淡路大地震で活断層が注目を集め、以後、活断層調査と耐震対策が原発計画の絶対条件になった。
原子力規制委員会は12万~13万年前以降に動いた断層を活断層と定義、その上には原発は建てないこととした。ただ活断層の定義は今も曖昧で、地質学者の間では「第四紀(約200万年前から現在まで)に「繰り返し」動いた断層を活断層と定義している。繰り返しとはいったい何回のことなんだろう?