坂口安吾「散る日本」

産経Webで1947年木村義雄名人に塚田正夫八段が挑む ” 名人戦 ” の観戦記があることを知り取り寄せた。著者はなんと坂口安吾。かなりの将棋ファンだったらしい。標題は「散る日本」で、さすがは作家だから棋士の心理を巧みに著した上に当節の政治批判まで及んでいる。
坂口安吾、新潟市西大畑で生まれた。自宅邸は520坪もあり裏庭を抜けると日本海が見渡せた。ただ祖父は事業に失敗、父は政治活動に金銭を注ぎ込み家は火の車だったと。氏の著作は読んだことはないが長兄が新潟日報や新潟放送の社長を務めていたことくらいは承知している。丙午年生まれで五男に因み「炳五(へいご)」と命名されたが、後に厳しい漢文教師が「お前に炳五という名は勿体ない。性格が暗いからアンゴと名のれ」と黒板に “暗吾” と書かれこれが “安吾” の由来となったと。
何にしてもわが輩の誕生年1947年に書かれた将棋観戦記「散る日本」を興味深く読んだが、安吾さんなら藤井×永瀬の一戦いをどう観戦したかも知りたいところだ。