Apple 創始者スティーブ・ジョブズが亡くなって12年。激しいＩＴ界にあっても氏を超える人物は現れない。有名な「Think Different」キャンペーンではトップページに「アインシュタイン」「ガンジー」に並んで新木版画「朝寝髪」を掲げた。ジョブズの寝室に飾られていた作品だと云う。「新版画」とは明治後半から戦後にかけて作られた木版画で江戸の浮世絵の20世紀版。複雑な色合いを表現しようと浮世絵が７〜８色（回）刷られるのに対して新版画は30〜45色（回）刷り重ねられる。見えない部分に相当のエネルギーをかけて制作に手間をかけたため１点の作品が摺られるのはせいぜい百部程度のようだ。
あの並外れた独創性の奥に日本文化への憧憬が脈々と流れていた。いま存命なら、Appleはどんな夢の製品を創っていたことか・・・