ショパン国際ピアノコンクールで2位に入賞した反田恭平、その舞台裏の紹介記事が面白い。
2015年の前回開催が終わると出場に向けた準備を始めたと云う。まずこれまで出場した800人の全曲目をリストアップ。より多く弾かれた曲を抽出しさらに予選の通過率でふるいにかけ残った曲をコンサートで実際に弾きながら自分に合うものを探した。また「力むことなく審査員席までピアノの音を届けたい」と考え肉体改造にも取り組んだ。まず「筋肉をつけよう」とジム通いを1年間。ただ筋骨隆々だと音がやや硬いと分かり「高齢の巨匠たちの手は脂肪で厚くふくよかな音が出る」とこんどは1年かけて筋肉を減らし理想の音が出るまで脂肪をつけた。ロシア留学時の50キロから70キロまで上げてコンクールに臨んだ。ファイナルのピアノ協奏曲1番では笑みが出るほどリラックス、オーケストラの面々も次第にノってくる様子が見て取れ、完璧に弾き終えた。優勝者の中国系カナダ人の演奏は技巧や解釈が現代的と評価されたが、小生には反田恭平の日本人らしい優しく柔らかな音と正確性が一番だと思った。
12月 13
2021
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