ノーベル物理学賞を受賞した真鍋淑郎博士は日本人28人目の受賞者として大騒ぎだが、ご本人は「私は米国人」と言い切る。そこには日本の科学界が抱える停滞の本質が見えてくる。博士は1997年に一度日本に帰国して宇宙開発事業団と海洋科学技術センターによる共同プロジェクト「地球フロンティア研究システム」のトップに就任したが2001年に辞任して再渡米。理由は提出した研究計画書が科学技術庁の官僚から難色を示されたからだ。
博士は会見でユーモアを交え「私は他人を傷つけたくありませんが同時に他人を観察したくもありません。何を考えているか解明したいとも思いません。私のような研究者にはアメリカでの生活が合っています。私の(米国での)上司は私がやりたいことを何でもさせてくれるおおらかな人で彼はすべてのコンピューターの予算を確保してくれました。やりたいことを何でもやらせてくれました。それが日本に帰りたくない一つの理由です。なぜなら私は他の人と調和的に生活することができないからです」
優れた研究者の頭脳を活かせない日本の科学界や社会システム(教育界や監督省庁)は危機感を持たないと米国ならまだしも中国に次々に流れてしまう。
10月 18
2021
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