栄枯盛衰

この世をば 我が世とぞ思ふ 望月の 欠けたることも なしと思へば
「この世で自分の思うようにならないものはない。満月に欠けるもののないようにすべてが満足にそろっている」藤原道長全盛期、宴席で得意満面に詠んだと習ってきたが、古典研究者の山本淳子氏は1018年10月16日の当日は「十六夜」で少し掛けていた筈、望月=満月ではなかったから「今夜は心ゆくまで楽しいなあ。空の月は欠けているが私の月(天皇の后となった娘たち)と皆と交わした盃は欠けていないのだから」程度の案外気楽な心情を詠ったのではないかと新解釈。これが詠まれた後、しばらくして京の都は感染症(はしか)のまん延で道長時代は終わった。
さて来る7月23日は東京五輪の開会式。この日は満月前夜で、新国立競技場に出る月はやっぱり少しだけ欠けている筈。しかもコロナ渦まん延の中だから「満月の詠」の時代とそっくりだ。だから得意満面で挨拶する小池都知事と菅首相にも退潮のキッカケになるやも、と、ふと思った次第。