グレンコ・アンドリー氏、ウクライナ出身の政治学者で日本在住。今年の春に産経に「狡猾なロシアの手法にやられる。だから今は領土交渉は行うべきではない。北方領土は日本の領土という主張を崩さずロシア独裁体制が崩壊するまで彼らと積極的に付き合うべきではない。それは何十年先のことになるかもしれないがそれでもいい」という主旨の一文を産経に載せて注目していたが、この度、PHP新書「NATOの教訓」が上梓された。早速パラパラめくると、さすが示唆に富むフレーズが次々に出てくる。
・西側諸国は独裁国ロシアに対して宥和政策をとり何度も同じ失敗を繰り返している。宥和政策は独裁国を増長させ事態をより悪化させる。
・日本の領土はロシアと韓国に不法占拠されており、尖閣も中国が虎視眈々と狙っている。この状態で日本が弱小国の振る舞いを続ければ、本当の弱小国に成り下がる。
・安倍政権は「日米同盟は主軸」と言いながら中国・ロシアと宥和路線を取ってきた。これが日本の安全保障最大の脅威になるだろう。そして菅政権も同じ路線を継続している。左翼が安倍・菅政権を軍国主義者と罵れば罵るほど多くの国民は「安倍・菅は日本のために働いていると勘違いをしてしまう。本当の意味での国防努力を怠っているというのに。
とにかく、いちいちが尤もな指摘で、NATOの解説書というより日本の国防を論じる、優れた指南書だと思う。永田町、霞ヶ関の面々よ、よ〜く読み切って欲しい。
6月 24
2021
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