いまキュリー !!

キューリー夫人の祖国はポーランドだが「いまキュリー」カタリン・カリコ博士はハンガリー。その半生は苦難の連続だったようだ。
首都ブダペストから東150キロ離れた地方都市で育ち実家は精肉店を営んでいた。大学で生化学の博士号を取得したあと地元の研究機関で研究員として働いていたが研究資金が打ち切られ1985年テディベアの中に全財産の900ポンドをしのばせてアメリカに渡った。米国ではテンプル大学やペンシルベニア大学で研究員や助教として働き、mRNAなどの研究に没頭。しかし研究成果はなかなか評価されず助成金の申請を企業から断られたり所属していた大学の役職が降格になったりするなど苦難の連続。ペンシルベニア大学の中でコピー機を使う際に言葉を交わしたことがきっかけでHIVのワクチン開発研究をしていたドリュー ワイスマン教授と知り合い、2005年今回のワクチン開発に道をひらく研究成果を共同で発表。しかしこの論文も当時は注目されず2010年特許を大学が企業に売却してしまった。幸いにも特許を買ったドイツ「ビオンテック社」は博士を副社長として招いて開発研究を米製薬大手「ファイザー社」と続けた。共同開発の発表からわずか9か月後の2020年12月に一般の人へのワクチンの接種が開始。カリコ博士らの功績が世界に認められることになった。謙虚な博士の望むところではないだろうがノーベル生理学医学賞、平和賞は間違いない。何度も書くが、日本の政府と製薬企業にこのような高邁な思考と実行力があったのか? 大いに反省せよ!!