エドワード・ルトワックの「日本改造論」は読み終えて、タイミングよく産経に短い文章を寄稿した。曰く・・・新型コロナはいわば「真実を暴くウイルス」だ。EUが機能しないことを暴き、多数の死者を出したイタリアの無秩序ぶりを暴いた。中国は虚言の国であることも白日の下にさらした。日本については日本は中国とは違うから安全といった意識が間違っていたことを思い知らせた。
新型コロナ危機を受けて起きているのはグローバル化の揺り戻しとしての脱グローバル化だ。グローバル化は国際機関の台頭と連動してきた。EUや世界保健機関などの機能不全が明白となったことで、世界はグローバル化や多国間枠組みから後退し国民国家が責任をもって自国民を守る方向に回帰するだろう。
もう一つ、新たな独裁諸国の台頭こそが人々が称揚するグローバル化の産物だ。インテリ層はグローバル化を世界民主主義であるかのように主張したが、現実には民主体制からプーチン独裁体制に変容したロシアや集団指導体制から習体制に移った中国など多くの国が独裁制に傾いていくのを促進した。グローバル化が民主主義に何ら寄与しなかった以上、脱グローバル化によって民主主義が損なわれることはない・・・