読売新聞中国総局長 竹内誠一郎氏がコラムに「中国の自縄自縛」という一文を寄せた。
・・・3月7日付けの党機関紙・人民日報は新型コロナの実録で3㌻を埋めた。中には昨年末の時点で感染拡大の懸念をSNSで訴え亡くなった李医師も登場するが、デマ拡散者として処分した経緯には全く触れずに、この一件は「どの国にもありうる小さなつまづきだった」と責任放棄、矮小化している。だからトランプが突きつける中国責任論や謝罪要求には国を挙げて反発するどころか、むしろ流行初期に犠牲を払って時間を稼いだ中国に「世界は感謝すべきだ」との主張さえするのだ。「ごめんなさい、迷惑を掛けましたと世界に頭を下げてみてはどうか」とSNSで呼び掛けた中国中央テレビキャスターは批判の集中砲火を浴びアカウントは閉鎖に追い込まれた。そして習近平政権は火の付きやすい民族感情を追い風として内向きの論理をますます強めている。
かっての歴代王朝は疫病などの厄災が起きると皇帝は詔を発して民に謝罪する慣例があった。例え天災であっても皇帝たちは天子(天の子孫)として責任の所在を明確にした。しかし共産党体制は王朝のような信託はもちろん選挙による民の信託も受けていない。その正統性を支えるのは誤りのない統治という「無謬(むびゅう)神話」だ。過ちを認めることは「体制崩壊」につながる強烈なアレルギーを持っているのだ。だから人民日報に載った実録でも「今回の疫病に対して党と政権の判断は総じて正しかった」と締め括くる無謬神話の自縄自縛にならざるを得ないのだ・・・
読みながら思った。中国共産党と習近平政権のダメさ加減はよく分かるが、それもこれもこの体制を持ち上げてきたオモネル国家の責任ではないのか。特に戦後の日本がまるで腫れ物に触るような扱いをして(つい数年前までODA経済援助をしていた)弱腰外交を続けたことが中国をバケモノにした最たる原因ではないのか。中国の思い上がりは日本の責任だと云うことを、永田町も財界も大いに反省すべし、だ。