老衰とは

甘く低音美声の大御所ケニー・ロジャースさんが亡くなった。81歳で老衰という報にもビックリした。
日本でも「老衰死」は1位のガン、2位心疾患に次いで死因3位だ。老衰とは「高齢者で他に死亡の原因疾患がない自然死」と実に曖昧だが典型的な現象があると云う。年齢を重ねると体内の細胞数がどんどん減少し栄養素を吸収する「小腸」の組織や筋肉が萎縮してしまう。小腸のヒダが収縮して、せっかく摂った食事を体内に上手く取り込むことができず体重減少に歯止めがかからなくなるのだ。もう一つは細胞が老化すると「炎症性サイトカイン」という免疫物質が体内で大量に発生。この物質が分泌されると体内の臓器が炎症を起こし一気に機能低下が起きる。その結果、肺を動かす筋肉も動かなくなってしまい呼吸も浅くなって少しずつ生命維持が難しくなってしまうのだと。多くの老衰死に立ち会ったある訪問介護士は孤独死の側面を別の視点から「孤独死という多くは実は老衰。運動機能が衰えると気力も萎え食事もまともに摂らない。こんな状態を自から選択してむしろ自殺に近い状況が意外と多い」と。
どうやら「老衰」は誰もが望む「天国への切符」だけではなさそうだ。