中国が好む「文明の衝突」

「文明の衝突」は米国の政治学者が1996年に著した国際政治学の著作で、特に文明と文明が接する断層線での紛争が激化しやすいと指摘したものだ。ただイスラム圏、ロシアについての言及が主で、中国については論外だった。ところが米中貿易摩擦あたりから中国人は「文明」という言葉を使い始めた。「国」よりも大きな枠組みの「文明」を好む背景には、国力の伸長で世界的な影響力が増大したこと、そして中華のプライドがあるからだろう。ただトランプやポンペイは「武漢ウイルス」とか「中国・熱」とかでこき下ろすから「文明の衝突」という言葉で対抗意識を燃やす。しかし所詮は米国が本家だし「悪銭身に付かず」そもそも中国に文明論は似合わない。