この再現航海の成功で実証されたこと・・・時速７km、幅100kmの海の大河「黒潮」を横断し、丸２日間の天気を読み方向を定める高度な航海技術、10ｍ以上の丸木を掘り抜く造舟技術、何より島影も何も見えない大海に漕ぎ出す勇気、我らのご先祖さまはこれらを合わせ持つ海洋民だったこと。彼らは沖縄列島を次々に渡って九州から本州に上陸、すぐさま石器の材料（黒曜石）を探し求めて伊豆半島まで達した。これは海運を通して”経済活動”をしていたことを物語る。そして間接的ながら（最新ＤＮＡ研究で提起）４万年前の中央アジア辺りで北東アジア系と東南アジア系に分岐する前に、日本列島に直行した一派であったことを意味し、日本人の起源解明が大きく前進するだろう。
それにしてもほんの50年前「日本列島に人類が住み着いたのは縄文時代から」と教わった先史時代が全く違う世界になった。そして我らのＤＮＡの中に僅かでもこの勇敢で創造力に溢れた旧石器人がご先祖さまであることは何とも嬉しいことだ。