ワラにもすがる

肝臓の繊維化や肝硬変については研究道半ばで定見が定まらないが、ちょっとでも安心する資料があると繰り返し読んでいる。中でも湘南東部総合病院 市田隆文院長(肝臓病外来)の「肝硬変は治る病気」という一文は大いに勇気づけてくれた。
肝臓の線維化が進行し血流の改変により肝細胞が結節状に再生肥大するのが肝硬変で、これまでは元の姿には戻らないとされてきたが、最近の研究で必ずしも非可逆的な疾患ではないことが分かってきた。原因を除去すると血清数値が改善し炎症が消褪、そしてゆっくり線維が吸収されて肝臓の硬さも大きさも正常肝に戻ろうとする。ただ線維化が消褪せず肝硬変が徐々に進行する場合がある。この可逆的なところと非可逆的な分水嶺がまだはっきりしないのだ。非アルコール性脂肪肝炎では食事運動療法で7%痩せれば改善するという科学的な根拠も見つかった。更に10%の減量で肝臓の線維化も改善するという報告もり、食事を1日4〜6回に分割し、特に夜食で必須アミノ酸を栄養補給することが奨められている。上の図は体重10%減で肝繊維化が45%の確率で好転する研究報告。