生態系を脅かす外来生物の侵入ばかりが報じられるが、実は海外で猛威を振るう日本発の「侵略者」が大きな問題になってきた。
●日本からニュージーランドへ輸出された自動車1万台以上を積載した貨物船から「カメムシ」が大量に見つかったとしてニュージーランド政府は船の入港を拒否した。カメムシは日本に広く分布する昆虫でミカンやリンゴなどの果汁を吸う農業害虫として知られる。
●くず粉や漢方薬の原料として知られる多年生の雑草「クズ」は150年ほど前に日本から緑化目的でアメリカに持ち込まれたが、その繁殖力の強さで建物や電線まであっという間に覆い尽くしてしまう「グリーンモンスター」として恐れられ、その被害額は毎年10億円を超えている。
●食用として重宝されるワカメ、海外では迷惑な外来生物として問題になっている。タンカーは船体の安定を保つためバラスト水を取り込むが、この海水に紛れてワカメの胞子が紛れ込みあっという間に世界中の海岸で繁殖、養殖のカキや、ホタテ、ムール貝、イセエビなどを阻害したり漁業用の機械にからまったり、水産業に重大な影響をもたらしている。
現地の生態系や人間社会に深刻な影響を与えている日本発の迷惑種はまだまだ増えそうで「世界の嫌われ者」は中国だけではなさそうだ。