裏切られた自由

アメリカ第31代大統領ハーバート・フーヴァーは任期中に起きた世界恐慌に手が打てず米国内では無能な大統領として評価は低い。ところが氏の厖大な資料収集と分析により第二次世界大戦へ突き進んだ当時の米国とその連合国の情勢が克明に記された回顧録「裏切られた自由」が2011年に米国で出版され、日本でもやっと翻訳されてまずは上巻が発売された。しかし上下巻各8,000円と驚くべき価格。これでは早々に手が出ない。やむなく訳者解説本「誰が第二次世界大戦を起こしたのか」を注文、読み始めた。抜粋された内容ながらルーズベルトとチャーチルの狡さとフーヴァー時代の国務長官スチムソンの偏狭的な日本嫌いが全ての発端で、且つ北方領土や中韓反日運動の元凶であることが分かる。最も興味深かったのはルーズベルトがスターリンの望み通りソ連邦を連合国に加え、結局は米国内にスパイや共産党員らしき官僚がはびこったこと。そして中国やポーランドの共産化を促したこと。またルーズベルトからトルーマンに引き継がれた無能政府が原爆投下で多くの一般市民を殺戮したこと。無能な人間が政治を弄ぶ怖さをマジと感じた。訳者は最後に「この”裏切られた自由”なくして二次大戦を語ることは出来ない」と結ぶ。トランプのロシアゲートといい、中国の強かさも気になる。