トルコで前々から噂のあったクーデターが起きたが結局、失敗したようだ。トルコは政教分離を建国以来の不文律としてきたが、現大統領エルドアンは「イスラム原理主義」を持ち込み強い強権政治を布いた。トルコ憲法には軍の指揮権について「平時」は大統領に、「戦時」は軍参謀長にあると条文化されているくらい軍は国民から篤い信頼を得ている。だから青年将校の中には独裁色の強い現政府に反対する一派があることくらい簡単に想像できる。ちょうど日本の216事件のようなものだったのだろう。
今年初めのイスラム過激派組織による後藤さん拉致殺害事件の際、交渉役をヨルダン国王に委ねた日本政府判断に対し、内藤正典などは親日国のトルコに任せるべきと強く政府批判をした。しかしトルコ政府の行状や今度のクーデターを考えると安倍政権がトルコよりもヨルダン国王を信頼した判断は誠に正しかったのだ。先々月、小生にとっては高額の内藤正典「トルコ 中東情勢の鍵を握る国」を読んだが、旧態依然の思い込みばかりでクーデターの予見など一行も書かれていなかった。これで政府にモノ申す中東専門家と云えるだろうか。本はすぐに捨てた。