吉永さんへの手紙

面白くない記事が多いので雑誌はほとんど買わなくなったが、正論3月号「吉永小百合さんへの手紙」は実に的を得たいい内容だったと思う。著者の小川栄太郎さんは文芸評論家で49歳、かなりのサユリストで希代の女優と評しつつも「原爆詩朗読」などは平和を願う純粋な思いとは別に政治利用されていると警告する。
特定秘密保護法や安保法制では彼女を含めて多くの芸能人、映画人、ジャーナリスが過激な反対キャンペーンを張った。「戦争法案」「赤紙」「徴兵制」と法案の中身などそっちのけで大騒ぎをしたが、著者は「あえて吉永さんに問いたい。法案の意味や中身を知らずに、後から責任の取れない出鱈目な批判をすること、またそういう人達の先頭に立って広告塔になることは貴方の女優としてのあり方や人としての信条に照らして恥ずかしいことではないのですか」「映画や舞台の世界に徹し、政治利用からはっきりと距離を取る時、貴女の中の女優と人間としての正義が必ず一致点を見いだす筈です」と・・・
映画「キューポラ」の中で高校生だった貴女は「お父ちゃんみたいに何も分かってない癖に頭から思い込んで変えようとしないのを無恥蒙昧と云うのよ、そういうのが一番いけないのよ」と云っていたではないですかと・・・
笑福亭鶴米、樹木希林、渡辺謙、竹下景子、石田純一などは「安保法案など今の政府は戦争の方向に向かっているから絶対に止めないといけない」と云うが、国を守ることがどうして戦争につながるのか。憲法9条があるから平和なのではないですぞ。パレスチナやシリアのように、国を無くした人達は芸能や娯楽どころか一日一日を生き延びることで精一杯なんですよ。